ピッチングに関する話題をふたつ紹介します。
野村監督が、ピッチャーに関してこんなことを語られていました。簡潔な言葉ですが、ピッチャーとしては極めて重要なポイントだと思うので紹介します。
「ピンチになって闘争心が先に出るか、慎重さが先に出るかはひとつのポイントになる。闘争心が先に出なければダメ」
プロ野球中継を見ていても、「慎重に投げている」と解説される場面では、ピッチャーに良くない結果になるケースが多いようです。
次に、高校野球でのエピソードを。
07年夏の甲子園二回戦で智弁学園が仙台育英を5-2で下しました。
智弁学園は、今大会No.1右腕と呼ばれた仙台育英の佐藤投手を攻略して三回戦に進んだのです。
佐藤投手を攻略できた最大のポイントは、智弁学園が佐藤投手の「投球のクセ」を見抜いていたからです。
そのクセとは
「セットポジションになると変化球と直球でフォームが違う。変化球の時はゆっくりで、直球の時は速い」
というものです。
智弁ナインはこのクセを見破った上で、直球かスライダーに的を絞って佐藤投手を攻略しました。
楽天田中投手のデビュー戦 ピッチングの課題 ストレートを強化するには
楽天の田中投手は07年の3月29日、ソフトバンク戦でプロデビューを果たしました。
しかし結果はほろ苦いもので、2回途中までで6点を失いKOされてしまったのです。
デビュー戦時点での田中投手を野村監督は「松坂、桑田のワンランク下」と評価しています。
この評価の根拠となっているのはストレートです。
松坂のストレートは打者の近くでピュッと伸び上がるんや。でも田中のは速くても『ドーン』とそのまいってしまう。
だから松坂ならファウルになるものが、田中になるとシン食ってしまう(シンでとらえられてしまう)から、打球が前に行く。
その証拠に今まで打たれた球は全部ストレートや。
と野村監督は解説されています。
この試合で対戦した王監督も田中投手真っ直ぐには「さほど威力が無い」とコメントしています。
松坂投手レベルのストレートにまで強化させる決め手になるのは、ずばり
下半身のトレーニング
です。
楽天の杉山投手コーチは
伸びのある直球を投げるためには、リリースの瞬間に指先で、最後のひと押しをすることが必要。それは腕の筋力ではなく、体幹と下半身がしっかりしていないとできない。
と語っています。
デビュー戦では打ち込まれてしまいましたが、これは楽天の田中投手にはまだまだ伸びしろがあるとも言えないでしょうか。