雑誌「週刊文春」の連載「阿川佐和子のこの人に会いたい」に、野球解説者・山本昌さんと阿川さんの対談記事がありました。
山本昌さんが投手時代の経験やエピソードを語られています。
このコンテンツは週刊文春2016年1/7号(Amazon)を参考にしました。
上達にも役立ちそうな内容を以下に抜粋して紹介します。
阿川 32年間の現役生活お疲れさまでした。
山本 ありがとうございます。
阿川 CS(クライマックスシリーズ)から解説者の椅子にお座りになっていましたが、プレーするのと比べていかがですか?
山本 自分がプレーするほうが全然楽です。何を喋ろうか考えていかなければならないことにまだ慣れないですね。
阿川 とはいえ投手の気持ちや調子は観ただけで・・・。
山本 それはわかります。ただ必ず言うのは「ピッチャーのことはプロですけど、野球は素人です」って(笑)。僕は小学校から野球をやってきて、実は投手以外のポジションをきちんとやったことがないんです。
阿川 ないんですか?
山本 はい。ピッチャーのことに関しては世界中どこに行っても負けないくらい分かっている自信があるので、確固たる意見を言えますけど。
阿川 でもピッチャーはバッターに打てれないようにするわけだから、バッターの動きや心理に関しても敏感なんじゃないんですか?
山本 ピッチャーってそこまで敏感じゃないですね。だいたいはキャッチャーの言う通りか、自分が今日調子いいと思うボールを投げてるだけで。
阿川 そうなの?
山本 実際、僕はキャッチャーの指示にほとんど首を横に振らないんですね。一試合に一回あるかないか。
阿川 よっぽどじゃないとキャッチャーに逆らうことはない。
山本 ええ。15年くらい前から試合後、対戦チームの監督に「山本昌の術中にはまった」なんてよく言われるようになりましたけど、仙人じゃないんだから術なんかないですよ(笑)。そう思ってもらえるほうが助かるので現役中はあえて言いませんでしたけど。
阿川 秘めたままにして。
山本 引退したのでもう言えますね(笑)。まあ、術ではないにせよ、もし何がしかのテクニックが僕にあるとすれば、キャッチャーの細かい意思を読み取ることでしょうか。
阿川 細かい意思?
山本 ここはボール球が欲しいのか、それとも勝負どころなのかを感じとって強弱をつけて投げていました。バッターじゃなくて、キャッチャーの心理を考えることを重要視してたんです。
どうやったら打ち取れるかなんか自分ではわかんないですもん。32年間やってきて無責任かもしれませんが、219勝したということで勘弁してもらえれば(笑)。
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