当サイトを運営していながら、管理人にはいまだに理解があやふやな語があります。

それは「軸足(脚)」という言葉です。


「打者・投手の軸足はこちら」と明確に答えるのは、実は意外と難しいのではないでしょうか。
 
これはスポーツ科学の専門家でも同様に感じるようです。
 

 
伊藤博一帝京平成大学教授が、著書「スポーツ医・科学の立場から考える野球技術の大原則」で「軸足」の呼び方について解説されています。
 
同書の24ページから、一部を抜粋して紹介します。
 
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スポーツ医・科学の立場から考える野球技術の大原則

投打ともに動作の過程で変わる”軸足” 誤解を防ぐ表現を

「軸足」の表現は、学界でもしばしば誤解のもとになるそうです。
 
(なお以下に出てくる「後期コッキング期」「加速期」といった言葉の詳細は本書を参考にしてください)

右投げの場合、「軸脚でバランスよく立つ」というときは右脚を軸脚と表現しているのでしょうけれども、後期コッキング期や加速期では左脚が軸となって骨盤や体幹部を回旋させています。
 
学会発表などでも右脚と左脚の表現の仕方は人それぞれで、時々、説明を求めることがあります。
 

バッティングでも同様に、注目する部位や動作によって”軸足”と解釈できる脚は変わります。

また、右打ちの場合、「軸脚回転で打つ」というときは右脚を軸脚と表現しているのでしょうけれども、骨盤や体幹部を回旋させているときの軸はやはり左脚ですので、この表現の仕方と動作に対する考え方は間違っていると思います。
 
右脚は、骨盤や体幹部の回旋を後ろから押す、もしくは、身体全体が捕手側に傾きながらバットスイングをしているのを倒れないように支えるのが役目であって、回旋の軸ではありません。
 

つまり投手も打者も動作の過程でどちらの足も軸足になりうる、ということです。
 
なので伊藤教授は投手の動作では独自の表現を使い、誤解を避けています。

私は右脚を”けり脚”、左脚を”踏み込み脚”と表現しています。この表現で説明を求められたことはほとんどありません。

フォームの解説では「軸足」単独ではなく「軸になる右脚」といった表現が好ましいと言えそうです。