「バッティングバイブル[テクニック編]」で、小早川毅彦さんがスイングスピードを速くする練習法について解説されています。

上半身だけを鍛えれば良い、というわけではないようです。
 

 
同書の122ページから一部を抜粋して紹介します。

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バッティングバイブル[テクニック編]

たくさん振る バットの重さを変える練習法

まずは”とにかく振る”ことを心がけましょう。

単純にヘッドスピードを速くしたい、鋭いスイングをしたいというのであれば、まずは数多くバットを振ることです。
 
15歳くらいであれば、マスコットバットのように、極端に重いバットを使って負荷を掛ける必要はないでしょう。
 
自然に振れるレベルの重さのバットを使って、素振りやティーバッティングなど、毎日のスイング量を多くしてください。
 

重さの違うバットを振る練習法もあります。

逆に軽いバットと重い(ふつうの)バットを交互に振るという練習方法もあります。
 
重いバットを振った後、すぐに軽いバットを振れば負荷がなくなった分、当然スイングが速くなります。そのスピードの感覚を体に覚えさせるのです。

ここで注意したいのは、スイングスピード≠ヘッドスピードということです。

知っておいてほしいのは、ヘッドスピードを速くすることとスイングスピードを速くすることは、必ずしもイコールではありません。
 
例えば筋力トレーニングをして、腕力をつければ、スイング自体は速くなったように感じられるかもしれません。
 
でもそれで、力任せにドアスイングのような形で振っていたら、いくらスイングスピードがあっても、いざ試合になったら投手の投げてきたボールをしっかり打てるのか疑問です。
 

 
手首の強さはもちろん関係があります。より強い方が良いでしょう。
 
ただ、手首の力だけがあっても、本当に鋭いスイングはできません。他の部分とのバランスが必要になります。
 
特に下半身は重要です。下半身を使ってきちんとしたスイングをしないと、結局本当の意味でのヘッドスピードというのは身に付かないのです。

下半身も大事な理由 しっかりした土台を作る

「てこ」の作用が働くバッティングも、しっかりした土台が必要です。

「てこの原理」を知っていますか?「てこ」とは、小さな力で重いものを動かすときに使う棒です。
 
てこには支点、力点、作用点の3つがあります。支点がぶれると、重いものは持ち上がりません。
 
バッティングに置き換えると、てこがバットならヘッドは作用点です。体の力をバットにスムーズに伝えることで、より速いヘッドスピードが生まれます。
 
手首は支点のようなものですから、そこを強くするという発想は間違っていません。
 
ただ、支点とは言っても、それ自体は土台となる体全体に支えられて初めて強い力を生み出すものです。
 

グラグラする土台の上では、どんな作業も力をうまく伝えることはできません。
 
バッティングも同様です。

ということは、腕や手首だけではなく、下半身の強さや腹筋、背筋といった体全体の力で、バットは振るものなのです。
 
土台、つまり体の軸がしっかりしていないと、その支点自体が狂ってきます。
 
それでは当然スイングスピードは速くならないし、ヘッドスピードも言うまでもありません。
 
そうなると、単純に走ったりすることでも、バッティングには必ず良い影響があるわけですね。