「すぐマネしたい バッティングトッププレイヤーの技術・守備・走塁」に、城島健司捕手(当時)のインタビュー記事がありました。
 
バッティングの考え方が参考になるので、一部抜粋して紹介します。

(「すぐマネしたい バッティング 守備 ・ 走塁 トッププレイヤーの技術(Amazon)」6~8ページより抜粋しています)

「センター返ししなさい」はなぜ?打席で捕手寄りに立つ理由

城島 プロでも「7回失敗して良いんだ」と思う人と10割を目指している人の違いがあると思います。僕は「10割を目指しても3回しか成功しない」という世界でやっている。
 
最初から「7回失敗して良いんだ」と思ってやっている人が3回成功するわけがないと思うんです。7回失敗しても最善を尽くさないといけないし、もっと1回の凡打にも悔しがらないといけない。
 

 
その通りですよね。気持ちの持ち方で全然違います。
 
城島 はい。打撃って難しいんでね。基本的にはボール球を打ったらヒットになる確率は下がると思います。投手からするとストライクを投げても10回のうち3回しかヒットにならない。それならボールを投げたら10回のうち1回ぐらいでしょうね。そういうことを考えて行くと、野球って曖昧なことが多い。
 
感覚的なことですよね。
 
城島 そうです。コーチでも「センター返しをしなさい」という。でもなぜセンターに打たないといけないかを言わない。センターに打つとどうなるかは僕も小さい頃、教わったことがない。
 
必ずセンター返しと言われますよね。
 
城島 そう。センターになぜ打たないといけないのかと言うと、まずはボールを引き付けないといけない。引き付けるとボール球を振らなくなる、その意識付けですね。
 

 
バッターボックスでは一番捕手寄りに立っているのもそうですか?
 
城島 引き付けて回転で打つということですね。ここ何年かはその形です。バットスイングというのはその身体の力に見合わないとダメなんです。僕も5年前の身体で今と同じことをやろうとしてもダメだったと思う。
 
それと、理想はいろいろと省いていきたいんです。ポンッと当たっただけでホームランが打てるならそれが良い。でもそれができないから身体の反動やボールの力を利用する。
 
投手は(バットの)芯に当てさせないようにいろいろな攻め方をする。相手が崩してこようとしているから、自分がそれ以上に崩れないことです。
 
曲がるボールに対し、自分も曲がれば単純に2倍曲がるんです。だから自分は頭の位置は動かしたくない。その時に身体が前に行っていたら、来るボールと衝突してしまう。
 
守備の時を考えれば分かる。引くようにして衝撃を吸収ながら取るでしょう。打撃も一緒。自分の目で見た感覚から動かさないことですよ。
 

ベースを叩くルーティンの意味と狙い球について

打席に立つとバットでベースを叩いて、ボックスの前も叩きますね。
 
城島 自分のストライクゾーンのインコースの線。そこに目付けをしてそれから左側はボールだから打たないようにする。まあ一種のクセですね。以前はとんでもないボール球をホームランしたこともありました。
 
城島 でもそういう時はバッティングの質は悪いですよ。年々、そういうのはなくなっています。たまたまホームランになっただけで、ボール球を打っていてはダメ。打てる球を打たないと率は上がってこないですよ。
 
狙い球は絞る方ですか?
 
城島 僕はまったく絞らない。目付したところのストレートをしっかり打てれば何でも打てます。やっぱりヤマを張らないバッターはキャッチャーもリードしようがないしね。打ち損じてくれる所を捜すしかない。バッティングの一番の理想はそれだと思います。全部がサバければ一番良いと思います。
 

「ポイントを常に修正する」ことで好調を持続させる

自分で見える感覚を一番大事にすることですね。
 
城島 はい。相手は僕に自分のスイングをさせないようにする。だから自分の基本を1日1日修正する必要もある。それは練習だったり帰ってからの素振りだったり、ビデオだったり。
 
自分のポイントがあると速い球や緩い球で動かされるわけです。そうするとその都度、ポイントを自分のものに戻しておかないといけない。戻さないと3日も4日も経つと凄くズレてしまう。それが打撃の調子の悪さにつながるんです。
 
毎日、修正して戻すのですか?
 
城島 若いときは試合が終わって遊びたいんですよ。でもいろいろな経験をすると、この大切さが分かってくる。そうすることで調子が悪くてもヒットが出るし好調も持続する。基本的に軸は動かさない。そこにボールを引き付けて身体の中で勝負したいですね。

軸足はズラさず 手は前に伸ばさない

体重をボールに乗せるというわけでもないんですね。
 
城島 人それぞれですからね。僕の感覚では右脚の前にバットが付いていて、後は野球盤と一緒。遅れ気味ならライトへ、もっと斜め前で当たればレフトへと。まあ、実際の打っている所は違うんでしょうけど。
 
基本的に軸足はズレたりしないですね。手が前に伸びないようにもしています。人間は90度の角度が一番強いと言われる。ヒジが閉まっている方が力が入る。相撲取りなんかを見ればそうでしょ。野球も一緒です。身体の中で勝負したい。そう考えています。


 
バッティングに限りませんが、野球の技術については選手それぞれに考え方や向き・不向きがあります。
 
なので、いろんな意見を参考にしつつ、各自で試行錯誤しながら「自分にとってのベスト」を追求していくしかありません。
 
城島選手が意識していることも、ひとつの意見として参考にしてみて下さい。