前ページに続き、野球で意見が対立しているトピックを、週刊ポストさんの記事を参考にまとめます。
 
このコンテンツでは、筋トレは野球に必要か不要か?について紹介します。
(このシリーズの最初のページはこちらです)


 
篠塚和典氏(不要派)、金本知憲氏(必要派)の主張です。(以下敬称略)
 
このコンテンツは週刊ポスト 2013年 9/27号(Amazon)164~165ページを参考にしました。

不要派 篠塚氏「筋トレをやるのが怖かった」

バットを振ったり、ノックを受けるなど、野球の筋肉はやはりグラウンドで作るべきだと思っています。
 
春季キャンプでは、とにかくシーズン中に使う体力や筋力を蓄えるための練習をしましたが、筋トレはしなかった。バットの先に重りをつけて振ったり、砂袋を引っ張りながらランニングしたり、基本的には走りこみや、野球のプレーの中で鍛えていました。
 

 
春季キャンプで蓄えた体力や筋力は、6月頃までは持続するので、その後は特守や特打をしながら、シーズン終了まで維持していましたね。
 
筋トレを全否定するわけじゃないですが、野球のプレーの中で使う筋肉とは違う別の筋肉をマシンでつけた場合、これまでやってきたパフォーマンスができなくなるんじゃないかという不安があった。
 
僕の持論は、「野球の技術は練習で鍛えられる左右の筋力の微妙なバランス上に立っている」というものでしたから。
 
たとえば守備。フットワークが変わってくるんじゃないか、柔らかくグラブを出せなくなるんじゃないかといったことを心配しました。
 
守備は下半身を鍛えておけば問題はないかもしれませんが、特に不安だったのは打撃面です。
 

 
左打者の僕は右手リードでバッティングするため、右の握力の方が強く、左右で15キロくらいの差がある感覚でした。これをマシンで左右を金一に鍛えてしまうと、バランスが狂ってしまうのではないかと考えたんですね。
 
筋トレは否定するというより、やるのが怖かったという方が正しいかもしれませんね。

金本「野球で不要な筋肉はない」

カープに入団した1、2年目は完全なパワー不足で、プロの投手の球威に負けて打ち返せなかった。そのため肉体改造が必要だと感じて、トレーニングジムでメニューを作ってもらいました。
 
そしてシーズン中もオフもトレーニングは欠かさなかった。そうしないとプロの世界では生きていけないと悟ったからです。その「恐怖心」からトレーニングを続けていきました。
 
目的は上半身と下半身のバランスが良くなり、かつパワーが発揮できて、40歳になっても動ける体作り。体脂肪をできるだけ最小にキープし、筋肉だけで体重を増やすことを目指しました。その結果、体脂肪が変わらないまま10キロ体重が増加。33歳の時の体重が一番重かったが、一番速く走ることができた。
 
学生時代にも筋トレをしましたが、我流だったので上半身だけ。プロになってからは上半身だけでなく、スクワットで下半身を重点的に鍛えました。
 

 
野球の筋肉はグラウンドで、という考えも間違いではないと思います。もちろんダッシュやランニングもやりました。それでつく速筋や遅筋をバランスよく、野球で使える筋肉にするために筋トレをする。これによって選手生命も延びたと確信しています。
 
僕は明らかに筋力不足だったので筋トレを始めましたが、筋力を鍛えて硬くなるということはないし、全身を使う野球に不要な筋肉はないと思っています。高校生のレベルが上がったのも筋トレの影響ではないでしょうか。
 
シーズン中にも筋トレを続けていたのは、筋肉だけで太っていたので、体重を落としたくない目的で筋力を鍛えていくしかなかった。
 
21年間トレーニングはきつかったですが、それが続けられたのは、一言でいえば向上心。それに尽きますね。