桑田真澄さん 誤解されているメジャーの「100球制限」

前ページに続き、雑誌「週刊ポスト」に掲載された、金田正一・桑田真澄両氏の対談記事を紹介します。
 
登板間隔はどれくらいが理想か、などが語られています。
 
※参考
甲子園での連投については投手の酷使 門田隆将さん「甲子園の歴史は選手が肘肩腰を壊して潰れていった歴史」コンテンツもご覧ください。動画を紹介しています。

下半身の強さ・股関節の柔らかさの重要性

桑田 ピッチャーと野手の決定的な違いは、野手が平たんなグラウンドでプレーするのに対して、ピッチャーはマウンドという斜面に立つということ。傾斜地で頭を残して下半身を前に持っていくため、野手よりも足腰の力が必要になるんです。
 
金田 獣がケンカする時には、沈む体勢をとって構えるだろう。あれと同じだ。
 
桑田 金田さんのいう「沈む」というのを、最近の選手は勘違いして、軸足一本で立つ時にヒザが折れてしまう。これだと下半身だけでなく、上半身も一緒に前に出る。だから負担がかかってケガをする。大事なのは、頭を残して腰が前に行きながら沈むことです。
 
金田 ワシが現役の頃は、マウンドもすぐに土が掘れて足首まで埋まってしまう最悪な状態だったから、ケガをしないため柔軟な体を作る必要があった。環境の悪さが関節を柔らかく保つ重要性を教えてくれたようなもんだ。股関節の硬いヤツはみんな消えていった。
 
(中略)
 
ロッテの監督時代、一人の故障者も出さなかったのは、下半身強化の練習をやらせたから。だが、今の選手にあの練習をやらせると、すぐにぶっ倒れてしまうだろうな。
 
・投げ込みの重要性を主張する投手の中には、「200球投げたら肩が軽くなり、いい球が行くから」という人もいる。
 
桑田 確かに、長い歴史の中ではそういわれていた時代もありますね。僕自身、キャンプでそういう経験をしたこともある。疲れて余分な力が抜けるからですね。
 
金田 経験者でないとわからないだろうが、疲れ切ると球がビューッと行くことがあるのよ。ところが翌日は、どれだけ投げてもその感覚にならない。そしてある日まて、その感覚が戻ってくる。これの繰り返しだ。
 
桑田 だからといって、量を投げればいいというものではないんですよね。特に変なフォームで投げていると、余計に下手になるだけだから、アマチュアは量だけを求める練習はやめた方がいい。
 
金田 投げ込みで大事なのは内容だ。ノルマを課すことに意味はない。今はこれがわからんコーチが多い。
 
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理想の登板間隔・傾斜地で投げる重要性

桑田 指導者の責任は大きいですね。とにかく練習させることが指導だと思っている人が多い。特にケガが治りかけたときに「試し投げ」させるのは最悪です。痛くないところを探して、フォームを崩してしまう。「止める」ことも指導者の重要な役割です。
 
金田 ワシだって調子の悪い時には無理をしなかった。違和感があると、ゴメンといって勝手にマウンドを降りたもんだ。そのかわり翌日登板して勝利。その次の日も球場に行って体をほぐし、「勝てそうだ」と思ったらまた登板して勝利。
 
桑田 さすがにそれは無理ですけど(笑い)。ただ、一方で今の日本のプロ野球の投手は休みすぎですよね。
 
金田 ワシらの頃は中4日でも休みすぎと思っていたが、今は中6日が普通。5日、6日も空くと、精神的にもたつくんだ。勝利への執念が薄れ、体に対する別の緊張感が出てしまう。
 
桑田 僕も6日あると、1日、2日も、ボーッとしたり遊んでしまうんですよね。僕はこの先、ユニフォームを着ることがあれば、選手にはぜひ中4日で投げさせたいと思っています。もちろん球数制限は必要になるので、少ない球数で完投する技術が求められる。
 
桑田 その球数制限についても一言。日本ではメジャーの「100球制限」が誤解されているんです。あれはメジャーが中4日だから球数を限っているのであって、日本のように中6日では意味が違う。ボクがピッチングコーチなら、もっと投げさせますよ。実際、メジャーでは4日の休みのうち、2回もブルペンに入るピッチャーがいますからね。
 
(中略)
 
今年(管理人注:2013年)、東大のピッチングコーチをやらせてもらってますが、ピッチャーには1週間に1回しかブルペンに入らない今までのやり方ではダメだといっています。週に3回のブルペン、週1は試合のマウンドに立って傾斜地での投球をしろと。
 
 
とにかくいいフォームをマスターするには傾斜地で投げることが必要で、傾斜地でバランス良く投げられるフォームが身に着いたら、それを強くするためにも投げないとダメです。
 
このコンテンツは週刊ポスト 2013年 9/27号165~166ページを参考にしました。(参考資料はこちらにまとめています)
 
次のページでは、ヘッドスライディングの是非について紹介します。
 
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