日本ハムの中田 翔選手は、二軍での練習で「すり足打法」を行っていました。
これは、中田選手本来の持ち味とは相容れない練習法なのですが、ちゃんと意味があります。
東京スポーツ新聞の記事から引用致します。
東スポ 今、取り組んでいるすり足打法に対し「持ち味を殺している」という意見もある。
山田(正雄GM) あの打法は一時的な措置。下半身が開いて上体がブレる弱点を矯正する第一段階だから。将来的には進化した形でステップ打法に戻す。彼の魅力は何といっても長打力なんだから。
08年 6月3日 東京スポーツ新聞「核心直撃」より
伊勢孝夫さん 速球を打つポイント 身体の軸
以前、東京スポーツ新聞で「ID野球の伝道師」という伊勢孝夫さんのコラムが連載されていました。
その中で、伊勢さんがヤクルトの飯田哲也選手に速球打ちを指導した際の話がありました。
バッティングのポイントを表現した記述があったので紹介します。
野村ヤクルトの1番打者といえば、俊足巧打の飯田哲也。それでも1番に定着するまでは、動きながら打ちにいく打撃フォームに問題があり、速い球をポンポン打ち上げてばかりだった。
打者には軸回転で打つタイプと体重移動で打つタイプがあり、恵まれた体格で腕力の強いメジャーリーガーなどにはコマのようにその場の軸回転でスイングする打者が多い。
一方、日本人選手は体重移動で打つタイプが主流で、小柄な飯田もそのタイプ。
ただ、体重移動で打つにしてもインパクトの瞬間は体の軸は止まっていなければならないのに、飯田はうまく「止まる」ことができなかった。
口でいくら説明しても改善の兆しが見られないことから、打撃コーチの私は球団にお願いして150キロの高速マシンを買ってもらった。
(中略)
ほとんどの選手が最初は戸惑いながらも、しばらくすると快音を響かせることができたのだが・・・。飯田だけは別で、いくら打っても一球もかすることができなかった。
(中略)
こりゃあ重症だ。すっかり頭を抱えたそんな時、私の目に飛び込んできたのは、高速マシンの速球を無表情でカンカン打ち返す土橋勝征の姿だった。
(中略)
土橋を「飯田のお手本にしよう」と考えた私は「おいテツ!土橋を見てみろ」。飯田を呼んで土橋の打撃フォームを見せることから始めさせた。
「速い球を打つには、あんなふうに体の軸を止めてカチーンとやるんだ。お前みたいにグラグラ動いてたら、いつまでたっても打てんぞ!」
何か感じるものがあったのだろう。飯田のバットに高速マシンの球が当たるようになったのはそれからだ。
平成22年1月27日東京スポーツ新聞「ID野球の伝道師」より
どんなことでもそうですが、ちょっとしたコツとはいえ、指導されて実際にやってみないと、なかなか身につかないものです。
そのコツを自力で習得することも可能ですが、良い指導者の教えをあおぐほうが上達は早いのは間違いありません。