2016年のシーズンでは、緒方孝市監督から「神ってる」と絶賛される活躍を見せた、広島カープの鈴木誠也選手。

その抜群のバッティング技術は、小学生からのお父さんとの特訓で養われたものです。


雑誌「週刊文春」に、その詳細がわかる記事がありました。
 
一部を抜粋して紹介します。
 
このコンテンツは週刊文春2016年7/14号(Amazon)121~122ページを参考にしました。
 
まずは野球ライター・キビタキオ氏による、鈴木選手評をどうぞ。

スイングスピードは昨季トリプルスリーのヤクルト山田哲人選手と同レベル。
 
ミート力が高く、フルスイングしながらボールを捉えていく。山田選手に比べれば、打てないコースの穴がまだありますが、そこが埋まれば、すごい選手になる。

鈴木選手が本格的に野球を始めたのは、小学三年生の時です。
 
父・宗人さんは野球経験があり、鈴木選手を独自の”鉄パイプ特訓”で鍛えていました。宗人さんが回想します。

金属バットに比べて芯が三分の一程度の竹のバットでミートさせる練習は、もともと取り入れていました。
(※管理人注:竹バットに関する記事はこちらをご覧ください)
 
途中でレベルアップさせたいと思い、荒川リトルシニアの事務局長さんが鉄工所を経営されていたので、直径3センチ弱の細い鉄パイプのバットを作ってもらったのです。
 
芯の部分にはもう一回り細い鉄パイプを埋め込み、振ったときにすっぽ抜けないように円盤状の鉄を溶接してグリップエンドを作り、グリップ部にはテーピングを巻きました。

”バット”が細いだけでもバッティングの難易度が格段に上がるのは容易に想像できます。
 
しかも、これで普通のボールを打つのかと思えば、そうではありません。
 

 
ボールが小さければ、その分芯で捉えるのも難しくなると考え、宗人氏はヤフオクで中古のゴルフボールを百個購入します。

それを座ったまま打たせることで、体がブレず、内角だろうと外角だろうと、きちんとミートするポイントを覚えさせることができました。

この特訓の様子は、テレビでも紹介されています。
 
中学三年・一学期の鈴木選手の成績は体育と社会以外オール1。
 
”やんちゃな野球少年”でしたが、野球推薦を得るために猛勉強し、二松学舎大付属高校に合格します。
 
その後ドラフト二位指名され、13年に広島に入団しました。
 
しかしプロ入りしてしばらくは、思うような結果が出せず、鈴木選手は苦悩します。
 
当時の様子を宗人さんが振り返ります。

一年目は二軍スタートでしたが、まったく打てなかった。誠也の野球人生で初めてのことです。
 
すぐ広島まで会いに行って、スーパー銭湯で一緒に風呂に浸かりました。すると、「お父さん、これ見てよ。おれ、プロじゃダメなんじゃねえかな」と言うのです。
 
頭頂部から後頭部にかけて、五百円玉くらいの大きさの円形脱毛症が三つも出来ていました。
 
「それだけ野球のこと考えて悩んでいるのなら、必ず結果は出るから心配するな」と話しました。
 
すると翌日、初ヒットが出た。嬉しかったですね。

現在の”神ってる”鈴木選手の基礎は、独自の特訓とお父さんのサポートにより作られたのです。