ピッチング指導者の内田聖人さんは、投球フォームで「テークバックはいじってはいけない」としています。
フォームの改造で何か手を加えるにしても、テークバックを変えるのはリスクが極めて大きい、というわけです。
内田さんの著書「ピッチング新時代」54~57ページから一部抜粋して、その理由などを紹介します。
ピッチング新時代
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テークバックは非常にデリケートな”歯車”
内田さんはテークバックに対してこのように考えています。
テークバックは、連続したピッチング動作を行ううえで、唯一無二の歯車です。他の動作をつなぐために結果的に大きくなったり小さくなったりするものです。
今までまったく野球をやったことがない場合は、誰かをマネしないと始まらないので、最初はプロのマネでもかまいません。
しかし、ある程度野球をしてきた人が、何の理由もなくテークバックを変えるのは絶対にやめた方がいいと思います。
テークバックに手を加えることで失敗した例を内田さんは多数目にしています。
テークバックの位置は非常にデリケートな部分です。コーチや周囲の人間は、絶対にテークバックはいじらないようにしましょう。
トップ層の選手がピッチングフォームを改造しようとしてバグってしまう原因も、ほぼテークバックにあります。
私はテークバックをいじることでトラブルになった選手を非常に多く見てきました。
実際、野球経験の浅い指導者はピッチャーのテークバックをいじる人が多いようです。プロ野球選手の見た目がこうなっているから、とそれを作ろうと考えているようです。
内田さんは「フォームができればテークバックの位置も自然に決まる」としています。
テークバックの位置は意識的に「こうしよう」と決めるものではないのです。
腕の内外旋などについても、動作のなかで自然にできるもので、自分で意識して作るものではありません。
腕の動きは、内旋→外旋→内旋などと言われていますが、なかにはテークバックで内旋していない人もいます。
(中略)
ピッチング動作はいろいろな動作が組み合わさってプログラミングされ、最後のリリースにつながっています。そのなかでテークバックは他の歯車では補い切れない部分です。
その歯車を一個変えることは、非常にリスクの高いことです。似たような形でうまくハマればいいのですが、それに問題があって歯車が欠けてしまうと、すべてが崩れてしまうのです。
もちろん、もとから壊れているのであれば変えなければなりませんが、自分の意識だけでピンポイントにテークバックだけ変えることはできない部分です。
どうしても投球フォームを変えたい時 絶対NGなテークバック ケガの原因に
とはいえ、投球がうまくいかず「フォームを変えたい」と考えたとき、どうしてもテークバックをいじりたくなるケースもあるでしょう。
そんなときはどのように対処するのでしょうか。
「コントロールがどうしようもない」、「明らかに球が弱い」などのときに試行錯誤の一つとしてやるのはいいかも知れません。
しかし、その場合も、自分がもっとも投げやすいポジションに腕を引くのが理想であることを忘れてはいけません。
もし、テークバックの位置が毎回バラバラになって、どうしても小さくしたいのであれば、それはスローイングの練習のなかで、自分がしっくり来るピッチングフォームを作っていけばいいのです。
フォームが安定すれば、結果的にテークバックも小さくなることでしょう。
注意点をひとつ。
テークバックで腕を背後に引くのは絶対NGです。
テークバックは自分が投げやすいところが基本ですが、内田さんによると背中側に腕を引いてしまうとケガのリスクが高まるのです。
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