2017年は、西武ライオンズ・菊池雄星投手の「二段モーション」が話題になりました。
二段モーションとは、投手が投球動作に入ってから投げるまでに二回足を上下させる動きです。
菊池投手は同年8月には、二試合で三回も二段モーションとして違反投球を指摘されています。
このコンテンツは週刊文春 2018年2/8号(Amazon)40ページ「野球の言葉学」を参考にしています。
同月24日のソフトバンク戦では、何と一回の初球を「二段」と判定され、3回7失点でKOされるという、散々な目に遭っています。
その後、ノーワインドアップなどにフォームを修正し、なんとかシーズンを乗り切りました。

二段モーションの”災難”に遭っているのは菊池投手だけではありません。
・藤川球児
・三浦大輔
・岩隈久志
といった投手も「二段モーション」と判定され、フォームの修正を余儀なくされています。
ここまで読んで、あれ?と疑問を感じた方もいるのではないでしょうか。大リーグを見ると、明らかに二段モーションの投手がいるのです。
最も目立つのは、大リーグナンバーワン左腕とも呼ばれるクレイトン・カーショウ投手です。
カーショウ投手のフォームは、管理人には”二段”に見えますが、当然ながら反則とはされていません。
実はメジャーなどでは、自然な流れの中での「二段」は容認されるのが時流なのです。「二段モーション禁止」は、日本独自の「縛り」であり、いわばガラパゴス的な禁止事項でした。
こうした現状を受けてか、2018年1月に行われたプロ・アマ合同の日本野球規則委員会で、二段モーション禁止項目を削除することが決まりました。
日本でもようやく二段モーションが容認されたわけです。
菊池投手にとっては大変な朗報であり、ジャーナリストの鷲田康さんはこのように解説されています。
昨年引っかかったフォームも、元は菊池が憧れるロサンゼルス・ドジャースのクレイトン・カーショー投手を研究して辿り着いたものだった。
菊池の「二段モーション」は決して欺瞞的なものではなかった。メジャーで通用する投手へとステップアップするための必然で、違反の指摘こそがおかしかったのである。
だから来オフのメジャー挑戦もウワサされる左腕にとっては、この削除は明らかな追い風となるはずである。
二段モーションは解禁されたわけですが、今後は打者のタイミングを外す目的で二段モーションを”悪用”するケースが出ないとも限りません。
野球規則の5・07には、投手が投球動作に入ったら
「中途で止めたり、変更したりしないで、その投球を完了しなければならない」
とあります。
元巨人軍のエースで評論家の堀内恒夫さんは、自身のブログで
「流れるような動作ならまだしも足を移動させるのに『足を止める』という選手が出てくるんじゃないかと危惧してる」
と懸念を表されています。
管理人としては、
常に二段モーションであり、その投手のフォームの一部である」ケースはOK
な一方で、
「時々二段にする」「二段のタイミングや止める時間が時々変わる」のはNG
といった基準になるのではないかと考えています。