前ページからの続きです。

テレビ番組「球辞苑」の「リード」特集から、リードにおけるポイント、選手が意識している注意点などを紹介します。

松本匡史氏「ピッチャーとキャッチャー両方を見る」重心の乗せ方

前ページの福地寿樹コーチの言葉に、松本匡史(ただし)氏が補足されています。

松本氏
もうひとつ加えるなら、リードの準備を早くしてキャッチャーのサインを見ておく。そして変化球のタイミングで走る。サインを見ておけば、変化球かストレートかはだいたいわかる。牽制のサインもわかる。
 

 
ピッチャーもキャッチャー(のサイン)を両方を見るのがポイント。
 
(前ページで紹介した)”右手ブレーキ”の件は、選手の利き足によって違いが出てくる。利き足がどちらかを把握して、自分のスタイルを作る。

松本氏の利き足は右脚であり、スタートの際は(左足で蹴るのではなく)右膝を使うようにしていました。
 
具体的には、
 
・重心は真ん中にかける 両脚(太腿から足にかけて)の内側全面(両脚を閉じたときに接触する部分)に重心を乗せるイメージ
 
・膝を軽く曲げて、膝に力を入れて構える
 
・牽制が来たら、右膝をターンさせるように身体を反転させ、塁に戻る
 
ちなみに松本氏によると、けん制の多い投手ほど盗塁しやすいそうです。

けん制が多いほど、タイミングが計れるので走りやすくなる。全くけん制しない投手だと、「いつ走ろうかな?」と考えてしまう。
 

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2016年牽制を受けた回数ランキング 各選手のリードの特徴も

2016年、投手に警戒され、牽制を多く受けた選手のランキングです。
 
選手名に続き、被牽制回数とリードの特徴を以下に列挙します。
 
5位 西武・秋山翔吾選手 165回
・ベースからすり足で6歩のリードをとる
 
4位 日本ハム・中島卓也選手 174回
・素早く5歩、ひと呼吸おいて大きめにもう1歩
 
3位 西部・金子侑司(ゆうじ)選手 180回
・すり足気味にキビキビと7歩 
・重心はやや一塁寄り
 

 
2位 日本ハム・西川遥輝(はるき)選手 221回
・盗塁成功率0.891
 
・札幌ドームなら、アンツーカー(ベース周辺の土の部分)から左足が出ないくらいのリード
 
・アンツーカーがない球場なら?歩数ではかる。スパイク12.5足分サイズは27cmなので、3m37cm5mm
 
・0.5足分の差で、牽制アウトになるかどうか決まることもある
 
・牽制が速いピッチャーならこの広さのリードはとらず、牽制が遅かったり、左ピッチャーならリードはもっと広がる
 
・つまり12.5足分のリードはあくまで基準であり、ピッチャーによって柔軟に変化する
 
1位 広島・田中広輔(こうすけ)選手 236回
・牽制球は意図的にもらうこともある
 
・4歩の後、半歩後ろに(外野方向に)下がり、二塁に直線的に走りやすくする
 
・自分の中でやることを決めてから落ち着いてリードがとれるようになり、頭の中をしっかり整理してスタートを切る回数は増えた
 
・投手に対し、走る姿勢を常にアピールするのも大事 まっすぐの配球が増えるので、打者へのサポートにもなる
 
・一塁に田中選手がいない場合の2番・菊池選手の打率は.309で、一塁に田中選手がいる場合は.331になる
 

リードの技法
リードの幅はスパイク12.5足分が基本。投手のけん制のスピードによって柔軟に変える。
(西川遥輝)
 
走るぞと意識させることで、直球の配球を増やし次の打者を助ける。
(田中広輔)